「デザート」で活躍中の漫画家さんに、デビューからこれまでを伺うインタビューシリーズ。
今回は、1月号から『惚れたはれたパンダ』が始まったばかりの
蟹沢ちひろさんにお話しを伺いました!
投稿からデビュー、前作『ふたりじめロマンチック』の連載化が決まるまでのお話はもちろん、
新作の裏話までお届けです♪
ーー対面持ち込みからスタートされたそうですが、数ある漫画雑誌のなかから「デザート」とコンタクトをとろうと思った経緯から教えてください
ろびこ先生の『となりの怪物くん』が好きで読んでいたのですが、よくコミックスの巻末に「投稿募集」の広告が入っていますよね。そちらを見て、編集部に直接持ち込んでみようと思いました。
ーー電話を受けたのは現担当編集者で、以来、育休中以外はずっと一緒に作品づくりをされていますね
はい、そうです。持ち込んだのは16ページのショートで、ヒーローがヒロインへの気持ちをバイクのランプサインで表現するという話でした。当時、一般的に漫画の執筆に必要なGペンや丸ペンといった道具を持ってはいましたが、実際に使ったら丸すらうまく描けなくて…。最終的に、自分が使いやすいサインペンで描いたものを持ち込みました。
持ち込みでは、この話をよく16ページにおさめられたねということと、テンポのよさをほめていただいた記憶があります。
担当編集:担当作家さんのデビュー作はもちろんわかりますが、 持ち込み作品を思い出せることは自分の中では珍しいです。でも蟹沢さんは持ち込みの時から印象的でした。16ページのなかにトキメキが溢れていて、いまも鮮明に覚えています。正直、道具の使い方なんて知識を身につければいいだけのことで、それよりもこんなお話を描きたいんだという想いを読者に伝えられることが大事だと思います。
ーー過去に他社にも持ち込みをされたことがあるそうですが、「デザート」の編集者にはどんな印象を持ちましたか?
アドバイスがすごくわかりやすいなと思いました。
気を遣ってくださっているんだと思うのですが、他社さんに持ち込んだ際は作品の改善点を遠回し遠回しに言われて、結局何をどうしていいかわからずに帰ったことがあったんです。その点、「デザート」は持ち込んだ作品の課題をその場ではっきり言ってくださったので、デビューに向けてどう動いていけばいいかが明確になりました。
ーー持ち込みを受けた編集者がそのまま担当編集者になり、デビューに向けて一緒に作品づくりを始めたそうですが、どのように準備を進めていきましたか?
担当さんからのアドバイスを受けて、まずは絵やコマ割りの練習を始めました。具体的には漫画の模写が中心で、『となりの怪物くん』の1話はまるまる模写した記憶があります。何度も繰り返し行うことで、だんだん「コマ割りのこういう部分が大事なんだな」というポイントがわかってくるので、すごく勉強になりました。
また、他の作家さんの読み切りを読んで、主人公がどう動いていくのかを起承転結に当てはめてプロットにしていく作業も、やってよかったことの一つです。1話をどういう配分で作っていくかが整理されて、自分の作業スピードも速くなりました。
それから、恋愛リアリティ番組もいっぱい観ましたね。恋する出演者たちの表情や振る舞いを勉強するのはもちろん、共感できるところとできないところを意識しながら楽しむようにしていました。
ーーそして2019年に『桜色ハルメット』でデビューが決定。2023年3月号で『ふたりじめロマンチック』がスタートするまでにも、かなりコンスタントに別冊に読み切りが掲載されています。何か自分に課していたことはありますか?

デビュー作『桜色春メット』は、デザート2019年9月号にも掲載。
その後も、別冊に読み切りが続々掲載。
そういうのは、特にはなかった…と思います。
担当編集:蟹沢さんはそうおっしゃっていますが、持ち込みの頃から、1週間に1度は何かしらを見せにきてくれましたし、たとえば「この日までにこれを提出してほしい」と約束して、守られなかったことがないですね。
わりと講談社のそばに住んでいたので、物理的に見せにいきやすかったというのはあると思います。そういえば、その週に作ったネームを持っていっては見てもらっていましたね。連絡すると、ほんのちょっとでも必ず時間を作ってくださっていた記憶があります。
ーーそして2022年2月号からはシリーズ連載『出会った時から、恋でした。』がはじまり、完結した数ヶ月後には『ふたりじめロマンチック』の連載がスタート。順調にステップアップされていきましたが、本誌連載が始まるにあたり意識したことはありましたか?

『出会った時から、恋でした。』
『ふたりじめロマンチック』
本誌連載は初めてだったので、単純に嬉しかったです。「やったー!」っていう感じで(笑)。ただ、読み切りか本誌連載かで、作品作りのスタンスで変わったことは特にない気がします。どちらも1話のなかに“自分が好きなものと読者の方が好きなものを盛り込みながら、起承転結を作る”という大きな枠は同じなので、読み切りでやってきたことがそのまま連載につながっている感覚です。
ーー“読者の方の好き”は、どうやって摑んでいったのでしょう?
読者の方の“好き”は、やっぱり届いたお手紙から知ることが多いです。自分では、納得いっていなかったシーンも、読者の方の声で安心できたり、「こういう部分をよかったと感じてくれているのか」と、気づかせてもらったりもしました。
ーーそして、いよいよ待望の新連載『惚れたはれたパンダ』も始まりました。こちらはどうやって作っていったのでしょうか?

新連載『惚れたはれたパンダ』
前作の完結後、いろんなテーマを考えましたし、ネームもたくさん作ったのですが、どれも「やっぱり違う」となって…。1年以上かけて担当さんと気づいたのは、具体的なテーマを考えて作ることができないということでした(笑)。でも、私はそのほうが描きやすいんじゃないかなと。なので、本作ではテーマを大きく“かわいい”として描いています。私が思うかわいいを詰め込んで描いていますので、読者の方にもそれぞれ自由に受け取っていただけたら嬉しいです。
ーー帆菜と生方くん、それぞれのキャラクターはどうやって作っていきましたか?
私はキャラクターを作るときに、「この動物と、この動物の組み合わせのお話を描いてみよう」というように、動物から発想するというやり方をよくしています。
ーーおもしろいですね! そこにたどり着いたきっかけはあったのでしょうか?
シンプルにキャラデザが苦手だったからだと思います。でも、例えば猫が擬人化したら…というふうに作っていくと楽に感じて、このやり方をとるようになりました。ちなみに帆菜はリスなどの小動物系で、生方くんは鶴がイメージです。ビジュアルで目に見えてリスや鶴らしさを取り入れているわけではないのですが、2人を描いている時の“私の中にいる”という感覚です。

ーーより、作品を読むのが楽しみになるお話ですね。では、作品づくりで難航した部分はありましたか?
先ほども少し話しましたが、今の形に決まるまでが本当に大変でした。たぶん、5本は企画をボツにしているんじゃないかなと思います。ヒーローがスケボー男子のお話や、芸能学校ものなんかも考えて、4本目くらいに『惚れたはれたパンダ』の原型とも言える作品ができて、アシスタントさんも稼働し始めていたのですが、「楽しく描けないかもしれない…」と、担当さんにご相談の連絡をいれました。そうしたら、担当さんが「やめましょう!」と言ってくださって。一旦、それまで考えていたことは捨てることにしました。
私はトントン拍子にいかないと、けっこう長く悩むタイプで。それなら、1回リセットしてやってみるのは一つの前向きな解決策なんじゃないかなと思います。
ーーそうして一から仕切り直して生まれた『惚れたはれたパンダ』ですが、注目してほしいポイントを教えてください
ぱんぶぅの表情や動きです。

ぱんぶぅはしゃべれない設定なので、だからこそちょっとした表情や動きから感情が伝わるようにこだわって描いているので、そこはぜひ注目して見ていただきたいです!
ーー蟹沢さんが作品づくりで特に大切にされているのはどんなことでしょうか?
“日常感”でしょうか。たとえば、モブや背景も適当には描かないようにしています。背景で揺れる木々や、道路のヒビ、小物であれば使用感があるかなど、そういう世界観がちゃんとある作品が好きなので、自分の作品でも書き込むようにしています。
ーー最新作、背景の隅々まで楽しみにしています! 最後になりますが、これから漫画家を目指す方へのアドバイスと読者のみなさんへのメッセージをいただけますでしょうか
これから漫画家を目指す方は、どう動いていいかわからなければ、まずは対面での持ち込みがおすすめです。編集者からのアドバイスで自分がどうすればいいかが明確になり、叶えたい目標に近づけるんじゃないかなと思います。
また、作品を読んでくださっている皆さん、いつも本当にありがとうございます! 私自身も楽しんで描いていますので、みなさんにとっても『惚れたはれたパンダ』が癒やしの時間になれたら幸いです。
ーーありがとうございました!
『惚れたはれたパンダ』作品紹介ページ
『惚れたはれたパンダ』1話試し読みはコチラ
今回は、1月号から『惚れたはれたパンダ』が始まったばかりの
蟹沢ちひろさんにお話しを伺いました!
投稿からデビュー、前作『ふたりじめロマンチック』の連載化が決まるまでのお話はもちろん、
新作の裏話までお届けです♪
“持ち込み”で自分の弱点を明確に!
ーー対面持ち込みからスタートされたそうですが、数ある漫画雑誌のなかから「デザート」とコンタクトをとろうと思った経緯から教えてください
ろびこ先生の『となりの怪物くん』が好きで読んでいたのですが、よくコミックスの巻末に「投稿募集」の広告が入っていますよね。そちらを見て、編集部に直接持ち込んでみようと思いました。
ーー電話を受けたのは現担当編集者で、以来、育休中以外はずっと一緒に作品づくりをされていますね
はい、そうです。持ち込んだのは16ページのショートで、ヒーローがヒロインへの気持ちをバイクのランプサインで表現するという話でした。当時、一般的に漫画の執筆に必要なGペンや丸ペンといった道具を持ってはいましたが、実際に使ったら丸すらうまく描けなくて…。最終的に、自分が使いやすいサインペンで描いたものを持ち込みました。
持ち込みでは、この話をよく16ページにおさめられたねということと、テンポのよさをほめていただいた記憶があります。
担当編集:担当作家さんのデビュー作はもちろんわかりますが、 持ち込み作品を思い出せることは自分の中では珍しいです。でも蟹沢さんは持ち込みの時から印象的でした。16ページのなかにトキメキが溢れていて、いまも鮮明に覚えています。正直、道具の使い方なんて知識を身につければいいだけのことで、それよりもこんなお話を描きたいんだという想いを読者に伝えられることが大事だと思います。
ーー過去に他社にも持ち込みをされたことがあるそうですが、「デザート」の編集者にはどんな印象を持ちましたか?
アドバイスがすごくわかりやすいなと思いました。
気を遣ってくださっているんだと思うのですが、他社さんに持ち込んだ際は作品の改善点を遠回し遠回しに言われて、結局何をどうしていいかわからずに帰ったことがあったんです。その点、「デザート」は持ち込んだ作品の課題をその場ではっきり言ってくださったので、デビューに向けてどう動いていけばいいかが明確になりました。
担当編集と一緒に挑んだデビュー
ーー持ち込みを受けた編集者がそのまま担当編集者になり、デビューに向けて一緒に作品づくりを始めたそうですが、どのように準備を進めていきましたか?
担当さんからのアドバイスを受けて、まずは絵やコマ割りの練習を始めました。具体的には漫画の模写が中心で、『となりの怪物くん』の1話はまるまる模写した記憶があります。何度も繰り返し行うことで、だんだん「コマ割りのこういう部分が大事なんだな」というポイントがわかってくるので、すごく勉強になりました。
また、他の作家さんの読み切りを読んで、主人公がどう動いていくのかを起承転結に当てはめてプロットにしていく作業も、やってよかったことの一つです。1話をどういう配分で作っていくかが整理されて、自分の作業スピードも速くなりました。
それから、恋愛リアリティ番組もいっぱい観ましたね。恋する出演者たちの表情や振る舞いを勉強するのはもちろん、共感できるところとできないところを意識しながら楽しむようにしていました。
ーーそして2019年に『桜色ハルメット』でデビューが決定。2023年3月号で『ふたりじめロマンチック』がスタートするまでにも、かなりコンスタントに別冊に読み切りが掲載されています。何か自分に課していたことはありますか?

デビュー作『桜色春メット』は、デザート2019年9月号にも掲載。
その後も、別冊に読み切りが続々掲載。
そういうのは、特にはなかった…と思います。
担当編集:蟹沢さんはそうおっしゃっていますが、持ち込みの頃から、1週間に1度は何かしらを見せにきてくれましたし、たとえば「この日までにこれを提出してほしい」と約束して、守られなかったことがないですね。
わりと講談社のそばに住んでいたので、物理的に見せにいきやすかったというのはあると思います。そういえば、その週に作ったネームを持っていっては見てもらっていましたね。連絡すると、ほんのちょっとでも必ず時間を作ってくださっていた記憶があります。
ーーそして2022年2月号からはシリーズ連載『出会った時から、恋でした。』がはじまり、完結した数ヶ月後には『ふたりじめロマンチック』の連載がスタート。順調にステップアップされていきましたが、本誌連載が始まるにあたり意識したことはありましたか?

『出会った時から、恋でした。』
『ふたりじめロマンチック』
本誌連載は初めてだったので、単純に嬉しかったです。「やったー!」っていう感じで(笑)。ただ、読み切りか本誌連載かで、作品作りのスタンスで変わったことは特にない気がします。どちらも1話のなかに“自分が好きなものと読者の方が好きなものを盛り込みながら、起承転結を作る”という大きな枠は同じなので、読み切りでやってきたことがそのまま連載につながっている感覚です。
ーー“読者の方の好き”は、どうやって摑んでいったのでしょう?
読者の方の“好き”は、やっぱり届いたお手紙から知ることが多いです。自分では、納得いっていなかったシーンも、読者の方の声で安心できたり、「こういう部分をよかったと感じてくれているのか」と、気づかせてもらったりもしました。
すべてリセットしたから生まれた新作『惚れたはれたパンダ』
ーーそして、いよいよ待望の新連載『惚れたはれたパンダ』も始まりました。こちらはどうやって作っていったのでしょうか?

新連載『惚れたはれたパンダ』
前作の完結後、いろんなテーマを考えましたし、ネームもたくさん作ったのですが、どれも「やっぱり違う」となって…。1年以上かけて担当さんと気づいたのは、具体的なテーマを考えて作ることができないということでした(笑)。でも、私はそのほうが描きやすいんじゃないかなと。なので、本作ではテーマを大きく“かわいい”として描いています。私が思うかわいいを詰め込んで描いていますので、読者の方にもそれぞれ自由に受け取っていただけたら嬉しいです。
ーー帆菜と生方くん、それぞれのキャラクターはどうやって作っていきましたか?
私はキャラクターを作るときに、「この動物と、この動物の組み合わせのお話を描いてみよう」というように、動物から発想するというやり方をよくしています。
ーーおもしろいですね! そこにたどり着いたきっかけはあったのでしょうか?
シンプルにキャラデザが苦手だったからだと思います。でも、例えば猫が擬人化したら…というふうに作っていくと楽に感じて、このやり方をとるようになりました。ちなみに帆菜はリスなどの小動物系で、生方くんは鶴がイメージです。ビジュアルで目に見えてリスや鶴らしさを取り入れているわけではないのですが、2人を描いている時の“私の中にいる”という感覚です。

ーーより、作品を読むのが楽しみになるお話ですね。では、作品づくりで難航した部分はありましたか?
先ほども少し話しましたが、今の形に決まるまでが本当に大変でした。たぶん、5本は企画をボツにしているんじゃないかなと思います。ヒーローがスケボー男子のお話や、芸能学校ものなんかも考えて、4本目くらいに『惚れたはれたパンダ』の原型とも言える作品ができて、アシスタントさんも稼働し始めていたのですが、「楽しく描けないかもしれない…」と、担当さんにご相談の連絡をいれました。そうしたら、担当さんが「やめましょう!」と言ってくださって。一旦、それまで考えていたことは捨てることにしました。
私はトントン拍子にいかないと、けっこう長く悩むタイプで。それなら、1回リセットしてやってみるのは一つの前向きな解決策なんじゃないかなと思います。
ーーそうして一から仕切り直して生まれた『惚れたはれたパンダ』ですが、注目してほしいポイントを教えてください
ぱんぶぅの表情や動きです。

ぱんぶぅはしゃべれない設定なので、だからこそちょっとした表情や動きから感情が伝わるようにこだわって描いているので、そこはぜひ注目して見ていただきたいです!
ーー蟹沢さんが作品づくりで特に大切にされているのはどんなことでしょうか?
“日常感”でしょうか。たとえば、モブや背景も適当には描かないようにしています。背景で揺れる木々や、道路のヒビ、小物であれば使用感があるかなど、そういう世界観がちゃんとある作品が好きなので、自分の作品でも書き込むようにしています。
ーー最新作、背景の隅々まで楽しみにしています! 最後になりますが、これから漫画家を目指す方へのアドバイスと読者のみなさんへのメッセージをいただけますでしょうか
これから漫画家を目指す方は、どう動いていいかわからなければ、まずは対面での持ち込みがおすすめです。編集者からのアドバイスで自分がどうすればいいかが明確になり、叶えたい目標に近づけるんじゃないかなと思います。
また、作品を読んでくださっている皆さん、いつも本当にありがとうございます! 私自身も楽しんで描いていますので、みなさんにとっても『惚れたはれたパンダ』が癒やしの時間になれたら幸いです。
ーーありがとうございました!
『惚れたはれたパンダ』1話試し読みはコチラ






